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去る3月7日に『ウクライナ政府をネオナチ政権だとツイッター上で拡散している「クラスタD」の残念な傾向』という記事を掲載した際、


アゾフ連隊や右派セクターは実在するんですが、、、。



グーグルで日付指定検索して、2019年より前の英語記事を探せ。ウクライナが極右という情報が、大学や研究機関からたくさんみつかるから。


といったコメントが当ブログに書き込まれました。

さて、実情はどうなんでしょうか。


ご多分に洩れず、管理人もロシアが侵攻するまでウクライナには取り立てて関心を払ってこなかったので、ナザレンコ・アンドリーらの祖国という以上の知識はありませんでした。とはいえ、プーチンが作戦目的としてウクライナの「非ナチ化」を挙示している以上、しかるべきソースに基づいて事実関係を確認しておく方がやはり望ましいのでしょう。


というわけで、今回拠り所にするのは、塩川伸明・東京大学名誉教授がホームページにアップロードした「ウクライナ戦争をめぐって」というテキストです。

http://www7b.biglobe.ne.jp/~shiokawa/notes2013-/Ukraina2022.pdf


このPDF文書の4ページを見てみましょう。そこには、このように書かれています。


ウクライナにネオナチが全然いないわけではなく、「ファシスト」と呼ばれるような勢力が皆無というわけでもないが、政権全体をネオナチと呼ぶのはどう見ても無理であり、ほとんど誰をも説得することができない。


(下線は当ブログによる強調。)


ご本人曰く、「ここ十数年ほどは歴史研究に専念するようになり、現状分析から基本的に撤退したので、専門的知見をもっているわけではない」そうですが、大著『国家の解体ペレストロイカとソ連の最期』の他、専門書・啓蒙書を名高い出版社から数多く世に送り出している碩学のまとめた文章であれば、下手な有象無象などの書き散らしよりは余程信用がおけるでしょう。実際、この「ウクライナ戦争をめぐって」は大変ためになるので、是非ご一読ください。


参考:Amazonに登録されている塩川伸明氏の著書