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今回はウクライナの国民詩人タラス・シェフチェンコの作品『遺言』(1845年)をご紹介します(渋谷定輔・村井隆之訳)。


わたしが死んだら

なつかしい ウクライナの

ひろい丘の上に

埋めてくれ

かぎりない畑と ドニェプルと

けわしい岸べが みられるように

しずまらぬ流れが 聞けるように


ドニェプルが ウクライナから

すべての敵の血潮を

青い海へ 押し流すとき

わたしは 畑も 山も

すべてを捨てよう

神のみもとに かけのぼり

祈りもしよう だがいまは

神の ありかを知らない


わたしを埋めたら

くさりを切って 立ち上がれ

暴虐な 敵の血潮と ひきかえに

ウクライナの自由を

かちとってくれ

そしてわたしを 偉大な 自由な

あたらしい家族の ひとりとして

忘れないでくれ

やさしい ことばをかけてくれ


彼の生存中、ウクライナのドニエプル川流域はロシア帝国の支配下にありました。

この詩を読んだだけでもプーチンの言う「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性」が虚妄であることがわかるのではないでしょうか。



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